どんなに優れたシステムやソフトウェアであっても、品質が悪ければ意味がありません。そのため品質管理・品質担保は非常に重要です。ここでは品質担保に欠かせない「テスト観点」について紹介・解説していきます。ぜひチェックして参考にしてください。
システムやソフトウェアの開発における「テスト」にはさまざまなものがあります。「単体テスト」「結合テスト」「システムテスト」「受け入れテスト」「スピードテスト」「耐久テスト」「ユーザーテスト」など、ここで挙げただけでも数種類のテストがあります。これらのテストはユーザーに対してきちんとした品質のシステムやソフトウェアを届けるために必要不可欠であり、「どの部分にどのテストを実施するか」を決めるためのものがテスト観点です。このテスト観点を細部まで網羅することで厳密なテストが行うことができ、品質向上に直結します。
学校や塾で行うテストも同じくですが、「どんなテストを行うか」を間違えるとテストの意味が無くなってしまいます。たとえば数学の学力を測るためには数学の問題を解きますが、50m走のテストを行うことはありません。これは極端な例ですが、「何を測るためにどういったテストを行うか」がテスト観点のキモなのです。勉強における強化や科目はそれぞれ明確な区分・定義がありますのでテスト内容で迷うことはありませんが、システムやソフトウェア開発には複雑な部分が多くあり、プロであってもその判断に迷うことがあります。もちろんテストを実施するのにもコストがかかってしまいますので、少ないコストできちんと品質を担保するためにはテスト観点を押さえておくことが非常に重要です。
テスト観点が重要であることは理解できたら、次は「どのようにテスト観点を決めていけばいいのか」という疑問にぶつかるでしょう。テスト観点においてもいわゆる業界標準のような、よく用いられる考え方があります。
よく知られているテスト観点に「T.Ostrandの4つのテスト観点」があります。これは「User-view(ユーザー視点)」、「Spec-view(仕様視点)」、「Fault-view(バグ視点)」、「Design-view(設計・実装視点)」という4つの視点からテストを行うという考え方です。
例えばデータ登録機能に対してテストを実施する場合、ユーザー視点では「実際のユーザーの動き方を想定した正しい入力・誤った入力をそれぞれした場合のテスト」を行います。仕様視点では「求められている仕様をきちんと満たせているか」「正しい動きをするか」のテストを行います。バグ視点では「入力途中で通信が途切れてしまった場合」「異なるデータ形式のものが送られてきた場合」など考えられる・起こりうるバグを想定してテストします。最後に設計・実装視点では、「設計の構造そのものにバグがないか」「動作したとしても脆弱な実装になっていないか」などをテストします。
テスト観点をまとめた「テスト観点リスト」というものもよく使用されています。しかしこのリストが形骸化して実務で使われないというような問題も発生していますが、「具体的にどのような切り口があるのかがあいまいであるためにテスト観点が整理できていない」という原因が考えられます。
テスト観点リストを作成する際には、最初にテスト観点を「品質特性」や「テストタイプ」、「テスト区分」などといったいくつかの段階に分類し、その後大きな観点から小さな観点へとブレイクダウンしていく方法が有効です。どんどん細分化を進めていくことにより「単体テスト」「結合テスト」「受け入れテスト」「システムテスト」などといったより具体的なテスト観点に繋がっていくため、数多くの観点を持つことも非常に重要です。さらに共通認識の洗い出しを行う中において、プロジェクト内でリストを整理しながら最新のテスト観点リストとして更新を重ねていくことも効果的です。
システムやソフトウェアの開発を成功させるためには「テスト観点」が重要であることを解説しました。このノウハウは開発経験を重ねるごとにどんどん質が上がっていきますので、経験豊富な会社であればあるほどより効果的なテスト観点を持ち合わせているでしょう。ぜひいろいろと比較・検討をして、ベストなパートナー選びに取り組んでください。
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