ニアショアテストとは？

ニアショアとは、開発業務を国内の地方都市の企業に外注することを指します。これに対して、海外企業に外注することを「オフショア」といいます。ニアショアは、距離や文化が近いため、コミュニケーションが取りやすいという利点があります。

当ページでは、ニアショアによるテストの必要性やメリット等について解説しています。

なぜニアショアが必要なの？

人件費が安いとされるオフショアではなく、ビジネスの利便性が高い首都圏企業への外注でもなく、あえて国内の地方企業に外注するニアショア。昨今、ソフト開発業界においても、ニアショアは大変注目されています。ソフト開発会社がニアショアに注目する主な2つの理由を見てみましょう。

人件費の高騰

コスト削減を目的に、テストを海外企業へ委託するオフショアが広く行われていますが、昨今ではオフショアの代表的な地域でもある中国やインドの人件費が高騰していて、オフショアでテストを行うコストメリットが薄れているのが現状です。

オフショアに比べると、まだニアショアのほうがコスト高になる傾向はありますが、言語の壁やテスト品質なども加味すれば、ニアショアのほうがコストパフォーマンスは良いと考える企業も増えてきました。

リスク分散のため

近年の自然災害や感染症の流行などを背景に、リスク回避を目的とした拠点・外注先の分散を検討する企業が増えてきたことも、ニアショアが注目されている理由の1つです。

首都圏に比べて地方は人口密度も経済規模も小さいため、万が一、大規模な自然災害や感染症の流行が発生したとしても、首都圏よりは安全性が高いと考えられます。緊急事態において一部の業務でも稼働させ続けられるよう、ニアショアが注目されています。

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ニアショアテストのメリットは？

オフショアと比較検討されることの多いニアショア。以下では、オフショアに比べた場合のニアショアの主なメリットについて、3点ほど見てみましょう。

環境

オフショア企業を取り巻く環境は、ニアショア企業のそれと大きく異なります。

たとえばオフショア企業では離職率が高く、人材の入れ替わりが頻繁に起こりますが、ニアショアの対象となる日本の地方企業では離職率が低いため、経験を蓄積した優秀な人材が多く在籍しています。人の入れ替わりが少ないということは、その分だけ情報漏洩等のセキュリティリスクも低いと考えられるでしょう。

デモや暴動などによるカントリーリスクがほとんどない点、為替リスクもない点なども含め、ビジネス環境におけるリスクが低いことは、オフショアに比べたニアショアのメリットと言えます。

コミュニケーション

オフショア企業とのコミュニケーションにおいて、日本語を用いたり英語を共通言語としたりすることもありますが、日本人同士の日本語によるコミュニケーションに比べると、大きな言語の壁があることは否めません。もとより言語の背景にある文化的な土台が異なるため、言葉としてのコミュニケーションは成立したとしても、本質的な理解のレベルで齟齬が生じることもあります。

また、日本と海外では時差があるため、リアルタイムでのコミュニケーションができないこともしばしばあります。ニアショアであれば時差は存在しないことから、意思疎通の時間差による問題は生じません。

距離

オフショアの対象となる主な国は中国やインド、東南アジアなどですが、いずれの国も日本から遠く離れているため、必要なときにすぐ顔を合わせて対話することができません。

その点、ニアショアでしたら新幹線や飛行機を使えば、数時間以内に会議室で対面して打ち合わせすることが可能です。たとえばソフトウェア関連事業が盛んな長野県をニアショアの対象とした場合、東京から新幹線で3時間弱、高速バスでも3時間少々で到着します。

首都圏と比較した場合は？

首都圏の企業が首都圏の別の企業へ第三者検証を依頼する例も見られますが、地方の企業に依頼するニアショアに比べ、家賃や人件費の都合からコスト高にならざるを得ません。

また、万が一首都圏に大規模自然災害が発生した場合、公共交通機関がストップして多くの企業活動が停止する恐れもありますが、地方では自動車での移動が一般的ですので、少なくとも移動手段を理由に企業活動が止まるリスクは相対的に低いと考えられます。

まとめ

オフショアのコストメリットが薄れてきた昨今、国内企業への外注回帰が見られるようになってきましたが、一昔前や二昔前とは異なり、近場の企業へ外注するメリットも薄れつつあります。その理由は、各種ネットツールの普及による地域間の距離の縮小です。コストパフォーマンスやリスク分散をお考えの企業は、ニアショアによるテスト外注に注目してみてはいかがでしょうか。